7/11/2015

ル・コルビュジエ展/ ポンピドーセンター


Le Corbusier/ Mesure de l'Homme, Le Centre Pompoidou

これだけ20~50年代のデザインや建築が話題になり、そろそろお出ましかな?と思っていたところ、やはり出ました。没後50年ということもあって、ル・コルビュジエ(LCB)は今年前半期のパリのスーパースター、中でも一番のイべントはポンピドーセンターの回顧展です。
あまり沢山の書きたい事があって整理ができないし、メディアや本がたくさん出ているので、説明はそちらに任せて、とりとめなく思ったこ事を徒然なるままに書くことにします。
建物の模型や設計図に劣らない沢山の、彼の油絵やデッサンがありました。画家として成功し、友人の画家のアメデ・オーザンファンと、ポスト・キュービズムの、ビューリズム(純粋主義)を提唱し、《キュービズム以後》という本を協同で出したり、雑誌《レスプリ・ヌーボー》を発刊し、芸術一般について彼らのセオリーを発表したり。マルチアーティストだったのです。
壁画など、注文を受けて描いた大作も
 
鉛筆のデッサン。上写真のテーブルやティーポットなど見ていると、イラストも上手そう。下はパリ郊外ポワシーにある有名なサヴォア邸(ヴィラ・サヴォア)のデッサン。
LCBとシャルロット・ペリアンのデザインした椅子




LCB、オーザンファンが1920~25年にかけて月刊で28号出版したエスプリ・ヌーボー。世界で初めての、現代の美学に関するインターナショナルな雑誌、と副題があります。
下はワイマールのバウハウスを支援する、エスプリ・ヌーボーのページ。チュリンゲン地方の政府が左派から右派に変わり、1925年4月1日をもって校長ワルター・グロピウス以下教師が解雇され、バウハウスが解散されたことに抗議し、バウハウスと校長ワルター・グルピウスの活動を称えたもの。この号をチュリンゲン政府に送っています。
沢山の建築関係やデザインの資料が展示されていますが、それらのパンフレット、本、雑誌のデザインやLCBの絵を使った表紙がとてもステキ。こういった本だけ集めた展覧会をしてほしいなあ・・・

ピューリズムから展開したLCBのセオリーは、簡単なベッドしかない質素な僧院の寝室や、客船のコンパクトなキャビンを理想としたアパートで、そのために人間の体を元に計算した新しいサイズ、モデュラーModulor(写真下)を考案しました。写真右上の巻尺は、彼の作ったモデュラーの巻尺。
 
その結果が、マルセーユのシテ・ラディユーズCité Radieuse。保育所、子供の遊び場、体育館、商店などが組み込まれた、全く新しい生活様式の提案、一種のユートピアです。けれど残念ながら、このユニテ・ダビタシオンは以後醜悪な郊外団地を生み出し、だからLCB批判も沢山。また一定に統一された郊外ベッドタウンのアパート群は、どちらかというと全体主義的な思想でもあります。機能的で安価な、近代的な衛生設備を備えた住宅という理想を追求していたら、個々の人間を1つの型に押し込んでしまうことに・・・

下は1952年から亡くなる1965年まで、気候のよい時に住んだ夏の家プチ・カバノンPetit Cabanon。カバノンとは小屋の事で、面積がたったの3.66x3.66m、高さ2.26m、文字通りの小屋。中は質素な夫婦の2つのベッドと計算された収納で、モデュラーのセオリーをそのまま応用したもの。著名な建築家の別荘となれば、特別に斬新だったり珍しいデザインのがよくありますが、この小屋は全くその逆。本当にシンプルなものを好んだLCBが、晩年に行き着いたミニマリズム! 海に面して、アイリーン・グレイとジャン・ヴァドヴィチの建てたヴィラE1027のすぐ後ろに建っています。賑やかに仲間が集まっていたようです。
下はル・コルビュジエ財団のサイトからの写真。下のカラフルなペイントの壁はクローゼットのドア。奥の丸いドットは洋服かけ。この洋服かけと四角いスツールは、今復刻版が販売されています。カッシーナのオライトのインスタレーション参照。
こうしてみると、ユニテ・ダビタシオンも、団地でなく単独、又は少数の集まりなら問題ない。特にこのカバノンは、独特の壁画や色使いで、家具が粗末なのに反してとびきり個性的です。シンプルライフを好む人には最高でしょう。近代的な衛生を重視したLCBにしては、機能的なトイレとシャワーが無いのが不可解。写真では家の左側に何かあるので、戸外に付いていたのかしら?(南仏の夏は外のシャワーでも快適、特に海で泳いだ後はとても便利)サイトには何も書いてありませんでした。
Le Centre Pompidou Le Corbusier, Mesure de l'Homme 8月3日まで

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