7/17/2015

あなたの愛は重すぎる!/ ラブ・ロック公害について


Our bridges can no longer withstand your gestures of love

このブログは私の好きなもの、ステキなものやデザインが優れているものをテーマにしているつもりですが、今回は例外的に、ステキでないもののお話です。
セーヌ河にかかる沢山の橋の中でも、歩行者専用で静か、歩く部分が木製で素朴でほっとする、私の大好きだった芸術橋ポン・デ・ザール。その橋の金網に、いつのころからか(2008年頃かららしい)錠前が付けられるようになりました。2人が離れないように、錠前でしっかり封じ込めた愛の証・・?このラブ・ロックはあっという間に増えて橋を埋め尽くし、その前で写真を撮る観光客が絶えません。増えに増え続け何トンにもなり・・・

とうとう金網が崩れ落ち・・
重さで橋が壊れる危険もあるので、最近金網ごと取り外し、錠前の付けられないガラスパネルに(写真The Guardian誌)
«あなたのラブは重すぎて、これ以上支えていられません»という、やんわりとラブ・ロック禁止を伝えるポスター。

念願叶ってパリに来たツーリストは、何か記念を残して帰りたくなるのでしょう。昔から人間のやりたがることはあまり変っていないようで、フランスには中世のツーリストである巡礼達の落書きがあちこちに残っていますが・・現代は人数が桁違いに多いから公害になってしまう。

さてラブロックを取り外した橋はどうなったかというと、ストリートアートのポップアップ・ギャラリーに変身しました。観光客を大事にしたいパリ市としては、ラブロックを取ってしまったので、若いツーリスト達を喜ばせようというつもりなのかも。でも、でも・・錠前の重みに喘ぐ芸術橋も、美しい眺めではなかったけれど、ポップアートの芸術橋は、醜悪、悪趣味。こんな橋にしてしまって良しとするなら、パリ市の美的感覚も地に落ちたもので、ラブロックよりこっちの方がもっと大問題です。錠前取り外し作業中の、一時的なものであることを祈るしかありません。

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