4/30/2016

ブーランジュリー・アントニー・ボッソン/ レッセンシャル


Boulangerie Anthony Bosson/ L'Essentiel

なんだか毎日のように新しいブーランジュリーがでオープンしているような気がするくらい、最近はおいしいパンがあちらにもこちらにも・・・今日は13区の、あまりグルメとは縁のなさそうな街角にある、レッセンシャルにパンを買いに行きました。
ほとんどのパンがビオで、運送によって吐き出されるCO2をなるべく出さないよう、材料はパリ近郊から取り寄せる、アントニー・ボッソンさんの極めつきオーセンティックなパン。カウンター横にすべてのパンが名前付きてピラミッド型に並び(トップの写真参照)、自分の欲しいものを注文するのですが、迷ってしまいます!
 買いたてのおいしいパンは、私はバターだけで食べるのが一番! 
 5区のムフタール通りにもあり、珍しく2店舗とも左岸

Boulangerie L'essentiel     73 Bd.Auguste-Blanqui 13e,     2 Rue Mouffetard 5e

4/27/2016

レ・アールのラ・カノぺがオープン


L'ouverture de la canopée des Halles

6年も長々と続いたレ・アールの工事が終わり、ラ・カノペがオープニングしました。
森の中で空を見上げると、木々の梢がアーチのように空を覆い、風で揺れる葉を通して木漏れ日がキラキラと見える・・・そのように何かが軽々とベールのように頭上高くかぶさっている状態をla canopéeラ・カノペといいます。とても詩的な言葉。
全部完成していないので、広告で隠している部分が多く、正面の庭もまだ入れません

パリ市のどの工事もけっして見積り通りでは収まらず、これも例外ではなく、2億5千万ユーロから9億1千8百万に膨れ(内ラ・カノペだけで2億1千6百万ました。どうしてこんないい加減な計算で市民の税金を注ぎ込むことができるのか、本当に疑問ですが・・・
合計2万5千㎡のガラスプレートは太陽光発電が組み込まれ、また自然光が入るように、隙間が開いて、単なる飾りでないのは悪くない。波打つような曲線は、美しいと言えないこともないけれど、木漏れ日の木々の梢とは程遠く、見るからに重そう。使われたクリームイエローのペンキは7000トンで、エッフェル塔のペンキ塗り替えには7500トン必要だそうです。
 
これが昔々のレ・アール。この優雅な鉄とガラスの建物を活かして、ショッピングセンターを作るべきだったのに! 今もショッピングセンターは大部分が地下にあるのですから。60-70年代の何でも壊した時代に(ポンピドー政権の時)、市場が郊外のランジスに移転し、壊されてしまいました。
真っすぐ正面に、ポンピドーセンターが見えるはず。エレベータ前の人混みで、ゆっくりカメラを構えることができず、また光の反射でよく見えませんでしたが。

4/21/2016

映画の元祖パノラマ/ クールカレ・ド・ルーブル

 

 "Panorama" d'Eva Jospin au Cour carrée de Louvre

パノラマって何だかご存知ですか? 18世紀に流行った庶民の楽しみで、お金を払って見る娯楽、例えば映画、の元祖ともいえる物なのだそうです。今フランスに残る一番古いパノラマはルーブルに保管され、1818年にピエール・プロヴォの作ったコンスタンチノープルの風景 。箱の中に入ると、立体的で遠近感のあるコンスタンチノープルの風景が見られるという仕組み。

そのパノラマの現代版が、ルーブルのクールカレで公開されています。エヴァ・ジョスパンによって作られたこのパノラマは建築アート、とも呼べるようなスチールミラー張りの8角形。正方形のクールカレ中央の噴水の池の上に設置され、四方を囲むルーブルの建物を映して、外側もパノラマです。
 
中は円形で、周囲を囲む渡り廊下から中央の円筒の部屋に入ると・・・そこは鍾乳洞?夜の森? どこかの惑星? 不思議な世界。ボール紙と糊だけで作られています。
              
そして外に出るとこの通り、現実に逆戻り。これが ″パノラマ″ なんですね。現実から離れた、違った世界を見ることのできる黒い箱、映画の御先祖様というのも頷けます。

ところでこのクールカレは、私がパリで好きな場所の1つ。ピラミッドのあるルーブルの正面広場がどんなに沢山の観光客で一杯でも、すぐ裏なのにここまで来る人は意外と少なく、オフシーズンは特にシーンと静かで、石畳に響く足音だけが聞こえることも。しかもリボリ通りからセーヌに抜けると、すぐ前は芸術橋です。
鉄柵の向こう側は人の沢山いるビラミッドの広場
四方の建物の中央にアーチの通り道があり、このアーチの下にはいつもミュージシャンが演奏して小銭を集めています。なぜかクラッシック音楽ばかりで、今日は音楽学校の学生風の女性が、ギターの伴奏でヘンデルの有名なLascia ch'io piangaを歌っていました。大好きなアリアだし、ルーブルの荘重さにマッチして満足のひと時。

Eva Jospin   Panorama, Cour carrée de Louvre 8月28日まで 

4/15/2016

象眼細工の人間国宝エルベ・オブリジ

les photos par http://obligi.fr/ 
L'art de marqueterie/ Le maître d'art Hervé Obligi

先日催されたLes journées des métiers d'art レ・ジュルネ・デ・メチエ・ダール(美術工芸職の日)に、象眼細工のメットル・ダール(日本の人間国宝に相当する人)のアトリエに行ってみました。昔の建物の壁や床の装飾、アンティークの家具などで象眼細工は沢山目にするものの、装飾過剰のような気がして、あまり好みではないと思っていたのに、フィガロ・スコープに出ていた小さな記事で急に興味を持ったのです。以下はその要約。
【フランスでたった1人の象眼細工のメットル・ダール、エルベ・オブリジ:
この職業をもう30年やっていますが、毎日何かしら学ぶことがあります。石の世界は変化に富んみ、2つ同じものは無く、興味が尽きません。新しい石を買うたびに新しい発見があります。私はこの硬い素材と現代の素材との相乗効果が、クラシックな花や鳥より好きです。新しいテクニックを使えば、何でもデザインすることができます。これはピアジェの時計の文字盤、それはフィレンツェの礼拝堂のパネルを美術館の依頼で修復しています。
メットル・ダールであるという事は、珍しい職業であり、そのため技術を後継者に伝えなければならないという事です。今までに12人くらいに教えましたし、7年前から見習いがいて、今彼は22才です。修復や創作の繰り返しを10年くらいして、やっと一人前でしょうか。
1世紀に1回修復するような美術品があります。このような昔の作品に接するのは素晴らしく、それを見ていると、自然に謙虚な気持ちになるのです。by Figaro Scope 30-5Avril
毎日新しい発見のある石の世界、古い作品に接すると謙虚な気持ちになる、という静かな言葉の中に、並々ならぬ情熱を感じました。
上は剣、盾、冑のモチーフの床の象眼細工、下は壊れた部分を新しい石で作り直しているところ。

ご当人のオブリジさんは、私と同じビジターだけれど石の専門家らしい人(彫刻家かも)と熱心なお話中で、ピアスのイヤリングに腕にタトゥーのある青年が色々説明してくれました。この仕事に打ち込んでいる感じだったので、なぜこの珍しい職業を選んだの?と聞いたら、小さい時から石が好きだった、あんまり好きだったので石工の仕事を習っていたら、そこの知り合いからエルベ氏の事を聞いて弟子入りしたとのこと。はは~ん、これが例の22才の見習いなんだ・・でも7年見習いしてるってことは、始めたのは15才?!  
いつ一人前になれるの?との質問には、一生勉強することがあると思うとのお返事。天命というか、この師にしてこの弟子あり・・・まだ少年の面影の残る、ごく普通のこの若者の、どこにこんな情熱が潜んでいるのか・・

このモチーフ、とても古典的だけれど、エルベ氏の創作で、修復ではありません

仕事台の上には、ルネッサンスらしい小型の風景のパネルが乗っていました。これがまた素晴らしく美しくて、私の象眼細工の概念を覆すもの。このブログの一番上の写真のパネルにちょっと似ていました。
特に感激したのは、オブリジ氏の創作。下の写真はアール・デコ風のテーブルで、表面のドットは、半球に丸くにカットされた透明のクリスタルの底に、金箔がはめ込まれています。この外に、次の展示会に出すという、クリスタルの天然のままを水平に輪切りにして、パズルのようにはめ込み、全く違った不透明のグレーの石で囲んだ丸テーブル。どちらにもうっとり・・

写真を撮る気になれなかったので、ここに掲載した写真はみなエルベ・オブリジ氏のサイトから使わせていただきました。ありがとうございます。
les photos par http://obligi.fr/  Merci beaucoup!!
Hervé Obligi,  Atelier Rez-de-chossée,  25 Av.Jean-Moulin 93100 Montreuil

4/08/2016

ル・コルビュジエの壁画/ スイス館


Fondation Suisse construit par Le Corbusier

1933年に完成したフォンダシオン・スイス(スイス館)は、それまで伝統的でクラッシックな建物ばかりだったシテ・ユニヴェルシテールで初めてのモダン建築で、ル・コルビュジエ(スイス人)のデザイン。ル・コルビュジエの大きな壁画が素敵です。(上の写真参照)

ピロティー(柱)の上に建てられ、屋上には四角く切ったガラス無しの窓のある屋上テラスなど、ル・コルビュジエのサインがあちこちに見られます。このピロティーの下は、夏は学生たちのくつろぎのテラスに。
入り口を入ってすぐの正面に、壁画のあるホールが。今日は現代音楽のミニコンサートをしていました。壁画もいいけれど、ホールの中はル・コルビュジエとシャルロット・ベリノーのデザインの家具が一杯でした。
各室にあるランプと同じデザインで大型のランプ
ル・コルビュジエのデッサンが面白い手作り風ベンチ型のソファー、
ソファーや椅子は全部オリジナルで、修理を重ね大事にしながらも、日々使用しているそうです。
階段を上がって2階には1室モデルルームがあり、中を見ることができます。その外の部屋は今でも学生寮としてもちろん現役で、学生が住んでいるので見られません。
下は、ちょっとかわいいドアの取っ手、ドアは黄色、赤、グリーン、ダークブルーなど。開けるとすぐにドアと同じ色の戸棚があり、洗面所とシャワーの水回りと、内側の寝室兼勉強部屋との仕切りの役目をしています。
Fondation Suisse,  Cité Universitaire  http://www.fondationsuisse.fr/FR/index.html