4/21/2016

映画の元祖パノラマ/ クールカレ・ド・ルーブル

 

 "Panorama" d'Eva Jospin au Cour carrée de Louvre

パノラマって何だかご存知ですか? 18世紀に流行った庶民の楽しみで、お金を払って見る娯楽、例えば映画、の元祖ともいえる物なのだそうです。今フランスに残る一番古いパノラマはルーブルに保管され、1818年にピエール・プロヴォの作ったコンスタンチノープルの風景 。箱の中に入ると、立体的で遠近感のあるコンスタンチノープルの風景が見られるという仕組み。

そのパノラマの現代版が、ルーブルのクールカレで公開されています。エヴァ・ジョスパンによって作られたこのパノラマは建築アート、とも呼べるようなスチールミラー張りの8角形。正方形のクールカレ中央の噴水の池の上に設置され、四方を囲むルーブルの建物を映して、外側もパノラマです。
 
中は円形で、周囲を囲む渡り廊下から中央の円筒の部屋に入ると・・・そこは鍾乳洞?夜の森? どこかの惑星? 不思議な世界。ボール紙と糊だけで作られています。
              
そして外に出るとこの通り、現実に逆戻り。これが ″パノラマ″ なんですね。現実から離れた、違った世界を見ることのできる黒い箱、映画の御先祖様というのも頷けます。

ところでこのクールカレは、私がパリで好きな場所の1つ。ピラミッドのあるルーブルの正面広場がどんなに沢山の観光客で一杯でも、すぐ裏なのにここまで来る人は意外と少なく、オフシーズンは特にシーンと静かで、石畳に響く足音だけが聞こえることも。しかもリボリ通りからセーヌに抜けると、すぐ前は芸術橋です。
鉄柵の向こう側は人の沢山いるビラミッドの広場
四方の建物の中央にアーチの通り道があり、このアーチの下にはいつもミュージシャンが演奏して小銭を集めています。なぜかクラッシック音楽ばかりで、今日は音楽学校の学生風の女性が、ギターの伴奏でヘンデルの有名なLascia ch'io piangaを歌っていました。大好きなアリアだし、ルーブルの荘重さにマッチして満足のひと時。

Eva Jospin   Panorama, Cour carrée de Louvre 8月28日まで 

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