11/18/2013

タンタンとBD収集家のお話し


Tintin et ses collectionneurs

19世紀末のパリを彷彿とさせるレトロな雰囲気一杯のアーケード、パッサージュ・ヴェルドゥー内のローラン・ビュレ書店は、昔のBD(ベーデーbande dessinéマンガの略)専門店として品揃えが素晴らしく、ファンにはたまらないお店。この道30年の店主ローラン・ビュレさんは、コレクションが増えすぎて置く場所がなくなり、30才の時にほんの2-3年のつもりで書店を開いたのが、そのまま30年続けてしまったという根っからの収集家。中学1年の時にジャン・コクトーを読みショックを受け、コクトーの本など彼に関するものを何でも集め始めたのがはじまりで、その後伯父さんの屋根裏にあったBD紙 “Junior”を見てこれにも大感激し、BDもコレクション始めました。そのころはセーヌ岸のブキニストも沢山の本を扱っていたし(今は観光客用の絵ハガキや土産物の方が多い)、古本屋がどこにでもあったのに、今ではほとんど消えてしまい、やむなく自転車でパリ中をくまなく回り、おもしろい本を扱っている店を自分でリストアップしたそうです。決定的に凝り性な人ですね。


1955年にタンタンは5フラン95サンチーム、当時としては安い金額ではなかったので、クリスマスのプレゼントはそれだけ。だから1冊のBDがとても大事で何度も読み、小さい子供達はそれで字を覚えたそうです。テレビ、映画、ゲームの沢山のヒーローに囲まれている現代の子供達には考えられないくらい、タンタンへの愛着が大きかったのですね。タンタンの収集家は“狂”が付く人も沢山います。今収集家が一番探しているのはタンタンの黒白版。また70年代以後はすべすべした紙を使うようになり、50年代以前の紙で印刷されたものの方が、ずっと奥行きのある美しい絵なのだそうです。またBDの画家は子供の本の挿絵も書いたので、お店には当時のジュニア本のコレクションも沢山置いてあります。
ビュレさんはBDは商売としたけれど、プライベートでは、いまだに読むと感動するというコクトーの、原稿、デッサン、絵、陶器などを集めて、コレクションはかなり充実しているとか。こちらの方は展覧会でもしてくれるといいのですが・・・

Librairie Roland Buret   6 Passage Verdeau 9e

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