12/28/2013

フロランス・ルウィ・バイ・アーティスト


Florence Loewy by Artists

フロランス・ルウィ・バイ・アーティストは、本というよりは、本のように綴じられた芸術作品と言った方が近いような、アーティストの美しい本ばかりを販売しています。11月に書いたオランダのデザイナー、イルマ・ブームの本に通じる美しい紙や装丁の本など、外ではなかなか見つからないプレゼントを見つけるには最適の場所です。本もアートですが、本棚自体も変わった斬新なデザイン。まるで森の大木のようなこの本棚は、限られたスペースに沢山の本を置けるように考案されているそうです。レ・ドックス・アン・セーヌのデザインを担当した建築家、ジャコブ+マクファーレンがデザインしたもので、そういえばうねりのあるカーブに共通点があるみたい。
併設のギャラリーでは、オーナーがセレクションした特異で多彩なアーティストの展示も行われています。

Florence Loewy  9 rue de Thorigny 3e 

12/26/2013

シネマ・ド・パンテオンの隠れ家カフェ


 Café du Cinéma du Panthéon

ソルボンヌ大学横の細い道をパンテオンの方に上って行った所に、シネマ・ドゥ・パンテオンがあります。1907年創立と、100才を超えて今でも営業を続けているパリで最も古い映画館の1つで、嘗てはジャック・プレヴェールやサルトルが常連のお客様だったそうです。プログラムは地味でもよい監督の映画や古い映画がメインで、アメリカ製大型娯楽映画とは遠い世界。シネクラブや映画関係のイベントなども催されますが、このような会合にも使用されるカフェは、カトリーヌ・ドヌーブとクリスチャン・サペが内装をデザインした150㎡の広いロフト風のスペース。ゆったりとした大ぶりのソファーやオットマンがあちこちに置かれてコージーな島を作り、カフェというよりはとても広い個人の応接間風。ドヌーブ女史がいかにも好きそーな(推測)内装です。ここでは体が埋まりそうなソファーを占領して、読書などしながらゆっくり過ごしましょう。映写室は1階でカフェは2階、しかも静かな小路に面しているので、街の雑踏からも切り離された隠れ家カフェ。映画を見なくても入れます。


Cinéma du Pantéon  13 rue Victor Cousin 5e  http://www.whynotproductions.fr/pantheon/

12/24/2013

メリー・クリスマス/ ポーズ・カフェ

Joyeux Noël

Merry Christmas

メリー・クリスマス!

 
ギャラリー・ラファイエットのショーウインドー クリスマス・デコレーション

12/22/2013

オリヴィエ・ピィ演出の“カルメル派修道女の対話”


Dialogue des Carmélites au Théatre des Champs-Elysées

毎年オペラシーズン最高潮のこの時期、そのシーズン一番の話題性のあるプログラムがあるのですが、今年はシャンゼリゼ劇場のDialogue des Carmélites“カルメル派修道女の対話”がそれに当たるかもしれません。フランスのトップと言える3人のソプラノと1人のメゾ・ソプラノが揃って登場し、モーツァルトで定評のある若手ホープ、ジェレミー・ロレールがどのようにプーランクを指揮するか、そしてこれも売れっ子のオリヴィエ・ピィの演出が期待されていました。




このオペラは、カルメル派の修道女16人が革命軍に囚われ断頭台に送られた史実を、ジョルジュ・ベルナノスが小説にしたものを元に、主人公ブランシュは自分だと言ったプーランク自身の死への恐怖が綴られ、修道院長の死の場面などもある暗いオペラです。オリヴィエ・ピィはすでに9月からの今シーズン3つめの演出で、オペラ座のアルセスト(グルック)は悪くないでき、バスチーユのアイーダは悪趣味だと上演中にまでヤジが飛ぶほど悪評。カルメル派・・はお話しが暗いので、演出が悪いと滅入りそうだと最悪を覚悟して行ったところ、特に照明が素晴らしく、コスチュームも修道女の黒く重いもを使わずあっさりと、オーケストラのパートで舞台に現れる、犠牲の子羊やキリストの誕生を表す、切り紙を使って単純化された無言劇、深い森を思わせるバック・・・サルヴェ・レジーナを歌いながら一人ずつ断頭台に向かうラストのシーンは星で一杯、断頭台の存在は、1人ずつ舞台奥に消えるたびに聞こえる、心の奥底まで響くショッキングなダーンという音のみ・・個人的には最近稀に見る素晴らしい演出だと思いました。プーランクの音楽、力量のある歌手達の歌うフランス語の美しさ、詩情豊かな演出の感動的なハーモニー。


ベッドを壁に貼り付け、歌い手は立って(客席からは寝ているように見える)鬼気迫る修道院長の死の場面。

12/20/2013

セルジオ・ララン“放浪”/ アンリ・カルチエ・ブレッソン財団


Sergio Larrain “Vagabondages” à la Fondation Henri Cartier-Bresson

Vagabondages“放浪”と題されたセルジオ・ララン(1931-2012)の展覧会、最終日22日を目前にぎりぎりで行ってきました。この人はアンリ・カルチエブレッソンに認められ、61年からパリの有名なアジャンス・マグナムのメンバーとして第一線で活躍しながら、71年にカメラを捨ててチリの片田舎に隠遁し、以後ヨガと瞑想の生活を続け去年亡くなったチリの写真家です。初期にはチリの下町の子供の浮浪者達の写真が多くあり、またカフェやダンスホールの恐らく娼婦や水夫なども被写体に沢山登場しますが、社会的な問題提示の作品というより、彼の“放浪”の一環という感じ。一番手前、中間、遠景、といくつもの影絵を重ねたような作品が多く、ここに挙げたのは私の一番好きだった作品です。



71年以後は瞑想の合間に書き物(若いころ作家志望でもあった)とデッサンをして過ごし、そのデッサン少々と隠遁後の3-4枚の写真が最後に展示されていました。この写真は写真というよりはデッサンの補足のような、壺や花などごく単純な1つのオフジェを撮っているのですが、影が素晴らしいはっとする小品でした。いい展覧会は、その人の作品に感動することは勿論、しばしばその人の人格とか人生を垣間見ることができます。彫刻、絵、家具や建築の展覧会でも、そしてリサイタルなどの音楽でも、媒体は何であれ結局私達は作品を通して作者を見ているのですね。

ついでに・・写真家アンリ・カルチエブレッソン財団では、よい写真の展覧会が催されますが、建物は1912年建築家モリニエによるアール・デコの、芸術家向けに大きな窓のある元アトリエです。

Sergio Larrain Vagabondages  22日まで! 
La Fondation Henri Cartier-Bresson 2 impasse Lebouis 14e 

12/18/2013

チャールズ&レイ・イームズのエレファント


Elephant à Terre Design/ Charles&Ray Eames

旬なデザイナー達のインテリアを集めて定評のあるブティック、テール・デザインTerre Designで、上記写真のかわいい椅子を見つけました。このゾウは1945年にかのチャールズ&レイ・イームズがデザインしたアニマルシリーズの1つで、子供(1-2才)用に丈夫で造形的にも美しかったのに、結局量産されなかったもの。オリジナルは合板をカーブしてありますが、そのまま作るととても高価になり(以前に少数限定で販売した時は即売り切れました)、ポリプロピレン製のお手頃価格でヴィトラ社から販売されています。テラスなど屋外での使用も可能で、子供の人気者になりそう。

テール・デザイン

Terre Design  38 bis rue Gassandi 14e 

12/16/2013

ル・ボンマルシェのかわいいクリスマス・カタログ


Catalogue enfant de Noël du Bon Marché

今年のル・ボンマルシェの子供用のクリスマス・カタログは、小学校のノート風で紙もリサイクル紙なのか手触りがよく、中にはステッカーが付いていたりして可愛いデザイン!



12/13/2013

アップル・ストアー


Apple Store à Opéra

2010年のオープニング当時大変な話題を呼び、また損害額百万ユーロと言われた大胆な強盗が去年の大晦日の夜にあったアップルのフラッグシップ・ショップ、アップル・ストアーオペラ店は、そんな派手な話題に反して、外から見るとあまり目立たないショップです。オペラ座のすぐ後ろの総面積1200㎡を占めるこの建物は、オスマン様式の元銀行で、歴史的建造物のため大改造ができず、ファサードには大きな看板やネオンが無く、アップルのマークがあるだけだからです。


広いホールにはレリーフで飾られた柱が並び、本当はスティーブ・ジョブスが希望したというガラスの大階段ができる予定だったそうですが、保存協会からストップがかかりキャンセルに。しかし高い天井は透明なガラスに変えられて明るく軽いイメージ。それ以外は徹底的に修理されはしても元のままなので、19世紀の建物と最新のテクノロジーとの奇妙なミックス&マッチの美しさがあります。

モザイクのフロアー
こんな大きなショップでスタッフもお客も多いのに、地下へは2人の人ががやっとすれ違える幅の古い螺旋階段。
元銀行の名残で地下には金庫の扉が(もちろん意図的に)残されていて、すぐ横に並べられた最新式のカラフルなヘッドホンなどと面白いコントラスト。

Apple Store 12 rue Halévy 9e 

12/11/2013

ブルレック兄弟のシャンデリア/ ヴェルサイユ宮殿 No.2


Le lustre des frères Bouroullec à Versailles No.2

先日ヴェルサイユ宮殿のロイヤル・オペラに行く機会があり、ガブリエル階段の横を通ったので、図らずも以前ブログで書いた、ブルレック兄弟のシャンデリアが実際に飾ってあるのを見ることができました。宮殿右翼の一番先のロイヤル・オペラまでは、王室礼拝堂前の広間や回廊を通り抜けます。どこも照明は全部灯されているとはいえ、広くて天井が高いのと、蛍光灯の強い光ではないためでしょうか、全体的にやや暗い感じが・・この宮殿に夜入ったのは初めてなので、かなり幻想的な気分に・・・ブルレック兄弟によると、アシメトリーで鍾乳洞の植物のようなシャンデリアにしたかったそうですが、ほの暗い天井から下がる光るクリスタルのケーブルは、まさに鍾乳洞の植物か、深海の生物のようでした。

12/08/2013

アンジェリーナの左岸店

Angelina

創立1903年のアンジェリーナは今年110周年を迎えて、初めてセーヌ川を渡り、リヴ・ゴーシュのバック通りに新店舗を出しました。これでこの地区はル・ボンマルシェのグルメ館を筆頭に、有名パティスリーが何軒も集まり、おいしい物好きにはますます危険な場所に・・・。デコレーター、バンビ・スローンの内装は、かつて英国王も御贔屓だったベルエポックのリボリ店と同じく、伝統を踏まえながらも、軽くすっきりしたデザインです。

 
アンジェリーナといえばモンブラン、そして右は110周年を記念した、チョコレートにキャラメル風味の洋梨入りケーキ。

226 rue de Rivoli 1e
108 rue de Bac 7e

12/06/2013

クリエーターがデザインしたクリスマスツリー


Les sapins de Noël customisés par des créateurs

毎年のことですがこの時期、有名デザイナーやメゾンがデザインしたクリスマスツリーが展示され、最後にオークションにかけられ、収益は癌研究所に寄付されるという“クリエーターのクリスマスツリー”というイベントがあります。デザイナーが作ったのですからどのツリーもユニークで、一目で誰のかわかる個性的なツリーの前では思わずニヤリ。今回は初めてグルメ界から、シェフ、ヤニック・アレノとピエール・エルメの2つのツリーが加わりました。
一番奥は言わずと知れたジャンポール・ゴルチエ、手前はタカダ・ケンゾー。ケンゾーさんのは、赤い花(多分クリスマスの花ポインセチア)のプリントが入った紙の白い部分と赤い部分を使った(のではないかと推測)折り鶴で、控えめに日本の香りがし、上品、繊細、しかしゴルチエに負けない華麗さでブラボー!
真ん中のフワフワはステラ・カデント、右端の絵はカステルバジャックで、だろうなーという感じ。
オリヴィア・プットマン、アンドレ・プットマンの娘で後継者。かわいらしい小さいツリーで、アンドレ・プットマン式にぐっとモダンなクリスマス・ディナーのテーブルの中央に飾りたくなります。
エルメス。両側の紐はバッグの持ち手になるコットン・ベルト、モビール式のツリーの素材は、バッグを作った時の切れ端の皮を使用。普通は捨てるしかない残り布、皮、少々難ありの素材等廃物利用で全く新しいデザインの商品を作り、Petit hプティ・アッシュ(エルメスのh)という別のブランド名で販売していますが、これはその延長のツリー。エルメスなので廃物といっても高級素材、クロコがあったり・・これも物を大切にするトレンドの一端で、その斬新なデザインと共に話題になっています。
ピエール・エルメのマカロン・ツリー
中央はディディエ・リュドのラ・プティット・ローブ・ノワール、右シャンタル・トマス
マサト。ヘアデザイナーならではで、ツリーに巻かれたのはフェイクのプラチナブロンドの髪。オーナメントのプラスティックのボールの中には、多分アシスタントの人や友達の小さな髪の房とカラフルな紙に書かれた各自のサイン、トップの星があるべき所にはヘアカットのハサミ!名前入りなのがフレンドリーですが、しかし暗い所で見たらちょっぴりコワげかも?の、ツリーとはミスマッチな髪やハサミを使って、とてもユニーク。
手前ソニヤ・リキエル、奥ステラ・マッカートニー。Sマッカートニーのは普通の照明としても欲しくなるかっこよさ。
展示会場は豪華なサロモン・ド・ロチルド(ロスチャイルド)邸 。展示は8日まで、オークションは続いて9日にこの屋敷で行われ、インターネットでも参加できるので海外からもOK。落札した人は、このツリーを飾ってクリスマスを祝うことができます。
L'Hôtel Salomon de Rothschild 11 rue Berryer 8e http://www.lessapinsdenoeldescreateurs.org/