Vagabondages“放浪”と題されたセルジオ・ララン(1931-2012)の展覧会、最終日22日を目前にぎりぎりで行ってきました。この人はアンリ・カルチエブレッソンに認められ、61年からパリの有名なアジャンス・マグナムのメンバーとして第一線で活躍しながら、71年にカメラを捨ててチリの片田舎に隠遁し、以後ヨガと瞑想の生活を続け去年亡くなったチリの写真家です。初期にはチリの下町の子供の浮浪者達の写真が多くあり、またカフェやダンスホールの恐らく娼婦や水夫なども被写体に沢山登場しますが、社会的な問題提示の作品というより、彼の“放浪”の一環という感じ。一番手前、中間、遠景、といくつもの影絵を重ねたような作品が多く、ここに挙げたのは私の一番好きだった作品です。
71年以後は瞑想の合間に書き物(若いころ作家志望でもあった)とデッサンをして過ごし、そのデッサン少々と隠遁後の3-4枚の写真が最後に展示されていました。この写真は写真というよりはデッサンの補足のような、壺や花などごく単純な1つのオフジェを撮っているのですが、影が素晴らしいはっとする小品でした。いい展覧会は、その人の作品に感動することは勿論、しばしばその人の人格とか人生を垣間見ることができます。彫刻、絵、家具や建築の展覧会でも、そしてリサイタルなどの音楽でも、媒体は何であれ結局私達は作品を通して作者を見ているのですね。
ついでに・・写真家アンリ・カルチエブレッソン財団では、よい写真の展覧会が催されますが、建物は1912年建築家モリニエによるアール・デコの、芸術家向けに大きな窓のある元アトリエです。
Sergio Larrain Vagabondages 22日まで!
La Fondation Henri Cartier-Bresson 2 impasse Lebouis 14e
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