12/22/2013

オリヴィエ・ピィ演出の“カルメル派修道女の対話”


Dialogue des Carmélites au Théatre des Champs-Elysées

毎年オペラシーズン最高潮のこの時期、そのシーズン一番の話題性のあるプログラムがあるのですが、今年はシャンゼリゼ劇場のDialogue des Carmélites“カルメル派修道女の対話”がそれに当たるかもしれません。フランスのトップと言える3人のソプラノと1人のメゾ・ソプラノが揃って登場し、モーツァルトで定評のある若手ホープ、ジェレミー・ロレールがどのようにプーランクを指揮するか、そしてこれも売れっ子のオリヴィエ・ピィの演出が期待されていました。




このオペラは、カルメル派の修道女16人が革命軍に囚われ断頭台に送られた史実を、ジョルジュ・ベルナノスが小説にしたものを元に、主人公ブランシュは自分だと言ったプーランク自身の死への恐怖が綴られ、修道院長の死の場面などもある暗いオペラです。オリヴィエ・ピィはすでに9月からの今シーズン3つめの演出で、オペラ座のアルセスト(グルック)は悪くないでき、バスチーユのアイーダは悪趣味だと上演中にまでヤジが飛ぶほど悪評。カルメル派・・はお話しが暗いので、演出が悪いと滅入りそうだと最悪を覚悟して行ったところ、特に照明が素晴らしく、コスチュームも修道女の黒く重いもを使わずあっさりと、オーケストラのパートで舞台に現れる、犠牲の子羊やキリストの誕生を表す、切り紙を使って単純化された無言劇、深い森を思わせるバック・・・サルヴェ・レジーナを歌いながら一人ずつ断頭台に向かうラストのシーンは星で一杯、断頭台の存在は、1人ずつ舞台奥に消えるたびに聞こえる、心の奥底まで響くショッキングなダーンという音のみ・・個人的には最近稀に見る素晴らしい演出だと思いました。プーランクの音楽、力量のある歌手達の歌うフランス語の美しさ、詩情豊かな演出の感動的なハーモニー。


ベッドを壁に貼り付け、歌い手は立って(客席からは寝ているように見える)鬼気迫る修道院長の死の場面。

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