11/29/2014

ルイーズ・ブルゴワンがピエール・フレイのデザイン


Louise Bourgoin dessine pour Pierre Frey

女優のルイーズ・ブルゴワンがデザインしたピエール・フレイのテキスタイルがとても素敵です。
彼女は子供のころから絵が好きで、ボザールまで卒業しているそうですが、同時にアルバイトのモデルやテレビのお天気予報ガ―ル等を経て、女優として2009年には、アンヌ・フォンテーヌ監督のLa Fille de Monacoで、セザールの最も有望な新人女優賞を受けています。女優として活動する傍ら、スタジオ仲間や共演者達のデッサンをしてはプレゼントしたりと、画への情熱は消えず、それを見た隣人の紹介でピエール・フレイと知り合ったのだそうです。ピエール・フレイはすぐに彼女のペン先から流れ出る美しいラインに魅了され、このコレクションが生れました。



女優のホビーとは言えない確かなデッサン力、ビアズレーを思わせる凄みのある個性、外にはどんな画を描いているのか、見てみたいビオロン・ダングル。(Violon d'Ingre=画家のアングルがヴァイオリンにも情熱を持ち玄人はだしだったことから、何かで名声を得ていながら、外の事にも優れている人のこと)
Pierre Frey  1-2 Rue de Furstenberg 6e  

11/27/2014

旧鉄道と駅の再利用/ラ・プティット・サンチュール


La Petite Ceinture de Paris

ラ・ルシクルリの事を書いたので、ラ・プティット・サンチュールのお話しをしたいと思います。パリ市の周りをぐるりと“元帥の大道り”と呼ばれる、ナポレオン時代の元帥達の名前を付けられた大道りが囲んでいますが、その内側を、昔ラ・プティット・サンチュールという鉄道が、同じくパリ市を1周していました。1852~69年に貨物の運搬用に作られ、後に旅客も載せるようになりましたが、1900年代に入ってメトロの人気に押され、1934年にまた貨物専用になり、1990年には貨物もストップし、廃線のまま最近まで放置されていました。
最近のエコロジーブームで、一部の区間(16区)では遊歩道になり、そのほかの区間や元駅をどのように有効に利用するかが検討されているようで、ラ・ルシクルリはその成功例。
上の写真はポルト・ド・オルレアン近くの駅で、再建設中。ラ・ルシクルリでは線路はそのままなのに、ここでは線路を取り払い、整地して大きなスペースが生れてました。何になるのか楽しみです。

下は上の写真のすぐ反対側で、整地もなにもされない放置された状態の線路。ここも将来は整地されるのかもしれません。左側のアパートの前の道路沿いは、市民に1-2㎡を無料で貸して、各自が花や野菜を作って楽しむエコ庭園がずっと並んでいます。

これがエコ庭園。各家庭割り当てられた小さな花壇は何を植えても自由。しかし市の土地なので、外の人達が散歩に入ってくることができるし、所々に椅子が置かれて、皆が花を楽しめるようになっています。グリーンの金網の下が線路。
 

11/24/2014

ラ・ルシクルリ/ 駅を改造したクリニャンクールの新ホットスポット、

 

Cinq bonnes raisons de tester la Recyclerie

ラ・ルシクルリは訳すと“リサイクル屋”、クリニャンクールにまた1つできた話題のホットスポット、
ラ・ルシクルリに行く5つの理由は・・・
1) 意外な場所の面白さ
上は昔の駅の建物を使ったビオのカフェレストラン、下はプティット・サンチュールの線路に沿って、ミニガーデンや鶏小屋まである、まるで田舎に来たような気分になるテラス、使わなくなって放置されていた場所をリサイクルして使っている。
2)ブロカント
中古品の再利用を広めようと、日曜日はよくランチ/ブロカントが催され、誰でも1㎡15ユーロで参加できる。金曜日は夜7時から中古品パーティ、中古自転車の販売日もある。
3)手作り講習会
不要になったものを再利用するDo it yourselfのアトリエ。
4)ルネの修理コーナー
ゴミを少しでも少なくするために物を捨てない! 壊れた機械や家具の修理を、適正価格でやってもらえるコーナー。担当のルネ氏から修理のレッスンを受けることもできるし、電気ドリルやカーペットのクリーナーなど、道具もレンタルできる。
5)毎月ペチュラ夫人の植物講座があり、自宅で元気のない植物を持ってゆけば、アドバイスしてもらえる。

 

  上が元のオルナノ駅、下には線路脇にテラスやミニガーデン。電車は通っていない廃線です。
 

        線路脇のテラスに下りる階段                 家畜小屋
 
やりたい人がやって買いたい人が買う、あまり商売っ気のないのどかな日曜日のブロカント 

仲間を作ってリサイクルを楽しく広めようというコンセプトです。特にリサイクルに興味が無くても、ビオのレストランは気取りが無くフレンドリーで、なんとなく素人っぽい雑然として楽しい雰囲気。
12月中はガーデニングのペチュラ夫人の、植物系の“ゴミ”を使って、リースなどのクリスマスデコレーションを作る講座があるとか・・
La Recyclerie,   83 Bd.Ornano 18e  

11/19/2014

マリークレール・イデーの手作り見本市スナップ



Créations Savoir-faire, Marie-Claire Idées

手作りとライフスタイルの雑誌マリークレール・イデー主催の見本市が始まりました。クリスマス目指して家族や友達へのプレゼントを作ったり、お気に入りホビーの一年中の材料を買ったり、またアイデアソースを求めに、沢山のビジターが集まって熱気の会場からのスナップショット。
    
    
      
    
    
    

過去の関連ブログhttp://kaleidoscope-design-paris.blogspot.fr/2013/11/blog-post_14.html
Création Savoir-faire, Parc des expositions, Porte de Versailles Hall 6, 8  11月23日まで

11/17/2014

フランク・ゲーリーのルイ・ヴィトン財団美術館


Fondation Louis Vuitton de Frank Gehry

LVHM のルイ・ヴィトン財団美術館(フォンダシオン・ルイヴィトンFLV)がブーローニュの森にオープンし、パリにまた1つ名所が増えました。
建築家フランク・ゲーリー(FG)による面積11,700㎡(土地面積4,500㎡)のこの建物は、セリグラフィー付きの、1つずつ形の違う3,800枚のガラスパネルを使った12の“帆”を、一杯に膨らませ疾走する帆船のように巨大で勇壮な外観。FGのデザインを実際に施行するに当たって、現存のテクノロジーでは実現できず、世界のトップエンジニア百人以上がコンピューターを駆使し、2年間の研究の末可能になり、結果として30以上の新テクノロジーを開発し、特許を申請したほど。
時間がなかったので今回は外観だけ見てきたのですが、展示スペースは3,500㎡、建物上部にはエッフェル塔等が見える眺めのよいテラスが沢山あり、船首にあたる部分には大ガラス窓を通して、絶えず波のある水面が見えるオーディトリウムがあるとのこと。
東側、船首の部分をほぼ正面から見たところ
帆に当たる部分がこの建物の特徴なのですが、どういう役割を果たすのか、これによって冷暖房や採光の省エネ効果があるのか、装飾価値の方が大きいのか、ネットや雑誌で探しましたがわかりません。来年3月までこの建設についての展覧会がここで開かれているし、ポンピドーセンターでFGの作品展をやっているので、ぜひ見て来たいと思っています。

スーパースターとFLVオープニング日の新聞に書かれた、85歳でなおエネルギッシュな偉大なアーティストFGの果てしない夢と創造性、そして国民の支持率最低の大統領フランソワ・オランド(オープニングに出席していた)など足元にも及ばない帝王、LVHM社長ベルナール・アルノーの情熱と財力があればこそできたもの、確かに素晴らしい・・・しかし外観を見ただけの素人の感想としては、先週のブログで書いたオーギュスト・ペレの教会とは正反対の物だなぁでした。また地球の将来を考えると、12の帆が省エネなどに役立たない限り、私にはグレン・マーカットのような考え方の方がしっくりします。

FGの過去の作品を見ると・・上左からビルバオ・グッゲンハイム美術館、クリーブランド神経(!)内科病院、ニューヨーク8スプルース・ビル(写真は小さくて見えないけれど窓が波打っている)、下左からウォルト・ディスニー・コンサートホール、ヴィトラ・デザインミュジアム。建物の概念を打ち破った功績は大きく、どれもアヴァンギャルドでメガロマニア的な美がありますが、軽さ、明るさ、エレガントさの点では、パリのFLVが断トツでは?



この中でヴィトラの建物はかわいくてかなり好き。ヴィトラの注文だったのでしょうか、ヴィトラらしくて外よりずっとシンプル。意外なのは下の写真の彼のサンタモニカの自宅で、元の普通の家に、トタンや金網などチープな材料を外からかぶせてリフォームしたもの。入口の階段がずれて置かれたり、屋根や窓が傾いていたりと彼らしいけれど、小型なので極端にならず、写真右のキッチンは、明るく使いやすそうで、これもかなり気に入りました。どうも私は貧乏性で、あまりデラックスで巨大な物には拒否反応があるようです。


Fondation Louis Vuitton, 8 av. du Mahatoma Gandhi 16e   http://www.fondationlouisvuitton.fr/
メトロSablons駅から徒歩約10分のブーローニュの森内。LVHMの威力か、メトロのホームからブーローニュの森の中までずっと表示が続き、迷うことはありません。

11/12/2014

オーギュスト・ペレのチャペル


Chapelle de Franciscaines de l'Immaculée Conception dite Chapelle Auguste Perret à Arcueil

先日の“文化遺産の日”に、アルキュイルにオーギュスト・ペレが建てた小さな教会を見るチャンスに恵まれ、宝石のように美しい教会でとても感激しました。
ファサードはマリア像がある以外は全く教会らしくなく、こんな建物が後ろに隠れているとは想像もつかないくらい小さい印象です。ちょっと雑然とした狭い玄関に入ると(ホールとは言えない手狭さ)集会室の扉が正面に、右手に粗末なコンクリートの階段があり、それを上った2階が教会堂・・しかし上がった途端に正に息をのむ光の洪水。こんな場所にこんな宝物が隠れていたとは・・・!

この教会は、女子孤児院を開いていたフランチェスコ派の修道女達の為に立てられたもので、オーギュスト・ペレが設計、弟のギュスターヴ・ペレが施工し、1927年から始め29年に完成しました。修道会は当時最先端の技術である鉄筋コンクリートでモダンな教会を作りたいと思ったのではなく、資金がとても少なかったため、安いコンクリートで作ってくれるペレ兄弟に頼んだのだそうです。
素材はコンクリートと中が空洞のレンガのブロックのみ。教会としてはとても小さいのに、小ささを感じないヴォリューム感、ほとんど飾りもない柱のシャープな美しさ、レンガを組み合わせたジオメトリー、中央に天井から下げられたシンプルなガラスの十字架(ステンドグラスの光に混じって写真ではよく見えないなど、美しいものを作るのに資金の大小はあまり関係ない事、そして建築家の技術をしっかり踏まえた天才の閃きの結果!


この教会の命であるステンドグラスは、コンクリート製の十字、円、斜めの四角の単純なタイル式モチーフを組み合わせたもので、色も黄とブルーの2色のみ。本当は色ガラスをタイルのモチーフの中にはめ込まなくてはならないのですが、安く上げる為に外側から張り付けてあります。そのため外から見るとステンドグラスは全く見えません。下の写真はとてもシンプルなファサードとバック、色ガラスが外から張り付けられているのが見えます。
 
                      
                       
下の写真はポーランドのアブストラクト画家ヤニコフスキーという人の描いた、イエスの受難と十字架への道。カトリック教会には必ずあるテーマで、普通はリアルで荘厳な大型の画が並んでるのですが、これはシンプルで小さく、下の小石に受難の場面のナンバーが順に付いています。寄贈されたものだそうですが、だれが選んだのか素晴らしいセンスでこの教会にぴったり。教会全体がカトリックとは思えない斬新さなのも驚きです。


安藤忠雄さんのインタビューで“ヴォリュームと光が最も建築に重要だということも大きな発見でした。特に光は、建物に生命を与えます” と語っていますが、本当にその通り。この教会を見れば、彼の提唱するヒューマニストの建築、魂のある建物とは何であるか、とてもよくわかります。

オーギュスト・ペレの宗教建築では、特にパリの郊外ル・ランシーのノートルダム教会が有名です。このノートルダム教会は、写真で見る限りコンクリートのあまりに冷たい外観と、天にまっすぐ矢のように鋭く突き出た尖塔に、実は今まで本物を見に行こうという気になりませんでした。食べず嫌いはいけませんね、いつか見て来なくては・・

Chapelle Auguste Perret,  52 Avenue Laplace Arcueil 94110  Tel.01 46 15 09 75 一般公開日は決まっていないので、要予約。(注)ステンドグラスが一番美しいのは、太陽が輝く日の午後です。

オーギュスト・ペレ・のパレ・ディエナ
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2019/10/fiac.html
オーギュスト・ペレのヴィラ・スーラ
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2013/09/blog-post_20.html
オーギュスト・ペレとフランクリン通り25番地のアパート
https://kaleidoscope-design-paris.blogspot.com/2014/02/25.html