6/29/2013

モリーヌ/ モンマルトルの生地と手芸材料店

Moline /Marché Saint-Pierre

モンマルトルの名所は、サクレルール寺院だけではありません。丘の麓にマルシェ・サンピエールという生地屋街があるのですが、実はこれが隠れた“名所”で、手芸好きやモード学校の生徒達にはもとより、カーテンなどの部屋の模様替え、学芸会や仮装パーティの衣装や舞台を作る時、クリスマスやイースターのデコレーションをする時など、パリジェンヌはここへ駆けつけます。必要な材料がここ一か所で全部揃うから。リボン、タッセル、ボタンなど部品のカラーとバラエティーの豊富さも驚くほどですが、特にデッドストックの安く美しい生地が沢山あるのも大きな魅力。カーテン生地などは3メートル幅まであります。その中で私の好きなのはモリーヌ。創立1879年と130年の歴史のある老舗です。

ため息の出る色の美しさと徹底した量の商品は圧巻


7080年代以後、自分で服を作る人が減る一方で、経営は苦しいと思われます。マルシェ・サンピエールの他の生地屋も、サクレクールに来るツーリストの数が多くなればなるほど、土産物屋に様変わりしてしまい残念なことですが、モリーヌとお隣の4階建てドレフュスや、その周辺の生地屋はまだ頑張っています。モリーヌは特にテキスタイルで作ったバッグや椅子の張り替えなどのサンプルを飾って、古臭い生地問屋のイメージから脱皮し、手芸のブログを立ち上げて、若いジェネレーションのお客獲得に勤めています。最近エコロジーとスローライフでdo it yourselfの風が吹いているので、少しづつお客が増えているいるようですが、今後どうなるでしょうか。

Moline  2,4 ;6 rue de Livingstone 18e   http://www.moline-mercerie.com/

6/28/2013

パレ・ド・トーキョー/近代美術館のブックショップ


La librairie du Palais de Tokyo

マレ地区など一部例外を除いてパリのショップは、日曜日は閉店、夜は7時又は7時半くらいでクローズしてしまいます。もしパリ滞在のスケジュールがちょうど週末だったり、映画やレストランという夜のお決まりのコースと違ったことをしてみたい時、近代美術とアヴァンギャルドのファンならば、パレ・ド・トーキョーがぴったりです。開館時間は12002400(火曜休館)と、ポンピドー・センター(11002200)よりもっと宵っ張り。特にここのブックショップは、場所柄近代に絞った建築、写真、アート、デザイン、グラフィックなどの最新の本や雑誌、カタログなどが充実して、このブックショップだけの為にでも来る価値があります。他にはないアーティーなポストカードなどもあります
巨大なインスタレーションやイベントの場になる大ホールと、ホール内のブックショップとカフェ・レストラン、トーキョー・イートTokyo Eatは入場料無し。天井の高い大ホールは荒っぽいコンクリートのまま、ブックショップも金網で囲っただけのロフト風で、全体的にアンチ・ミュージアムのコンセプトです。


Palais de Tokyo  13 Av. Du Président Wilson 16e  http://www.palaisdetokyo.com/en/lifestyle/bookshop

6/26/2013

海の画家マチュラン・メウ展


Machurin Méheut au Musée National de la Marine

6月末でクローズの予定だった海洋博物館(トロカデロ広場)のマチュラン・メウの展覧会が、人気があるので9月1日までに延長されました。この展覧会はこの春一番と言ってもよいほど面白いのでお勧めです。
マチュラン・メウはブルターニュの海岸で生まれ、海洋生物研究所で海の生物のデッサンに夢中になり、後にパリの装飾美術大学で勉強したので、純粋な画家というよりはイラストレーター、デコレーターです。展示のテーマは、ブルターニュの漁師や塩田で働く人たちの生活、第一次大戦に従軍中のスケッチ、奨学金を受けて世界を見て回った時のスケッチ(特に日本)、陶器や壁画とその下絵。生涯海をテーマに膨大な量の絵を描き続け、しかも手紙魔だったので、奥さんや仕事仲間に素晴らしいスケッチ入りの手紙をどっさり送っていて、そのごく一部しか展示してないらしいのですが、それでもどっしり見ごたえのある量。装飾美術で有名な人で、生前から美しいデッサン集などが沢山出版されていますが、私は知らなかった上、しかも海洋博物館の展覧会だからたいしたことはないと思って夕方行ったため、結局閉館で追い出されるまでたっぷり時間がかかってしまいました。
奥さんに送った手紙の内容とともに一番悲劇的なスケッチ、逃亡兵の処刑。ほんの小さな絵なのに訴えかけるものは大きく、絵自体が美しいのがよけい悲しい。

彼が有名になってからの装飾的大作より、私には漁師たちの生活風景や戦場の場面を、骨太の線で一瞬の場面を捉えたものがすばらしく、また戦場のスケッチは、悲惨な場面はあまりなく、時にはユーモアさえ感じられるのに、とても心打たれました。最前線の修羅場で、どうやってスケッチしていたのでしょうか・・・魚やエビが手元に無いので、昆虫を描いていたのも面白い。
陶器のデザイン画と実物も展示されています。パリのレストランPlunierプリュニエは、白地にブルーの魚貝モチーフの彼のお皿を今でも使っているそうです。
日本では京都、奈良、宮島(やっぱり船を描いている)の風景や、日常の人々のスケッチなど、海洋博物館が海をテーマに企画したのでほんの少しだったのですが、これだけで独立した展覧会をしてもらいたいくらい素敵でした。日本のスケッチだけでもすごく沢山残っているらしい、全部見たい!

Machurin Méheut Musée National de la Marine, Place de Chaillot 16e 9月1日まで
http://www.musee-marine.fr/

6/25/2013

ラ・ビュット・オ・カイユのフリーマーケット


La Butte aux Cailles : Vide grenier

昨日の日曜日は、ラ・ビュット・オ・カイユ(13区)のヴィッド・グルニエ(フリーマーケット)をひやかしながら散歩してきました。ここはラ・ビュット“丘”の名前通り、急な坂道がある小高い丘の上で、谷には昔ビエーブル川が流れていたので、川の水を利用する皮のなめし、布の染色、洗濯のアトリエが並び、肉屋なども集まって、汚れた手工業の地区だったそうです。4月のブログで紹介した19区のムザイア地区と同じように、地下採石場があったため大きなビルが建てられず、パリの開発から取り残されていました。地下の穴が埋められた今も、道路が狭いので車が沢山入って来れず、昔のビレッジのままの姿が残っています。そんな場所なので、車を締め出し、街ぐるみのんびりしたマーケットでした。ヴィンテージというよりは家庭の不用品を整理するガラクタ市で格安。モザイクの大きな植木鉢を抱えた男の人(すぐ帰ってテラスに花を植えようと急ぎ足)、ランプを持ってニコニコしているおばさん(ちょうど欲しかったランプがすごく安く買えたという笑顔)など、あちこちで商売が成り立っている様子。そういう私も、パラで少しづつ集めているボールが見つかって、しかも1€だったので即購買。ところでビエーブル川はどうなったかというと、現在パリ市の中は地下を流れ、市外で地上に出て来ます。

高くても3、4階建てのアパートが殆どで、一軒家も残っています。少しでも庭があると、木や花を植えているのがステキ。
ラ・ビュット・オ・カイユ通りあたりが街の中心
夏の夜は、どのレストランもデラスに人が一杯あふれます。雑誌などでもよく紹介され、最近はこのヴィレッジの雰囲気を求めて、沢山の“よそ者”も集まってくるので、田舎臭さがなってしまうのではないかと心配ではありますが。
近所の人達が子供連れで出入りしていた小さなカフェ・レストラン

La Butte aux Cailles   13区のRue Bobillot,、Bd.Auguste Blanqui、Rue de Tolbiacに囲まれた地区。
最寄りのメトロはColvisart


6/23/2013

マリメッコのお話し


Marimekko

真っ赤な大輪のケシの花のプリントで日本にもファンの多いフィンランドのテキスタイルメーカー、マリメッコは、上場企業としては世界でも珍しい(もしかするとただ1つの)女性社員が90%を占める会社です。そしてマリメッコの歴史のターンポイントには、数々の女性が深く関わっています。

1951年にアルミ・ラティアが創立し、そして創立10年にならないこの企業を一躍有名にしたのがジャクリーヌ・ケネディー。1960年、パリでのショッピングを批判されたジャッキー・ケネディーが、パリと全く関係ないマリメッコのシンプルなコットンドレスを着て雑誌の表紙に載りました。8着一度に買ったそうですが、まだコルセット風のきつい下着を付け、地味な服が大半だった当時のファッションと違って、明るいカラーとルーズなシルエットのシンプルなドレスは、進歩的な女性のシンボルでもありました。そしてマリメッコのデザイナー、マイヤ・イソラの大きなケシの花のプリントが、ニューヨークのトップブティックを飾る時代が約20年続きますが、創立者アルミ・ラディアが1979年亡くなり、下手な経営でデザイン性を失い下降線を辿り、倒産寸前になった1991年に、キースティ・パッカーネンが買い取り、デザイン重視の路線で立て直しました。1990年には、セックス&ザ・シティーのサラ・ジェシカ・パーカーのアパートには、マリメッコのカーテンがかかっていたそうですし、去年は、ヒラリー・クリントンがヘルシンキの工場で沢山ショッピングして話題を呼びました。

 マリメッコの工場とショップの入口(3年前の写真ですが)

ヘルシンキの工場とオフィスは町の中心からちょっと離れていますが、サイクリングに自信のある人は自転車で行きましょう。工場ブティックはディスカウント商品や、プリントに少し難ありの生地の量り売りなど、あれもこれも欲しくなって困ります。
ショッピングの後は道草してピクニック。ヘルシンキは橋で繋がっている大小の島伝いに、自然の中をサイクリングするのが最高なのですが、そういう美しい場所にはレストランもカフェも無いので、食べそこねないように要注意。

森の中には週末やバカンスを過ごすサマーハウスが。ワンルームとキッチンくらいのミニハウスが多く、エコロジーを考えて、ほとんどが水道もないと聞きました。
パリでは左岸のフィノバでマリメッコが買えます

Finnova 35 quai de la Tournelle 5e 

6/21/2013

ラ・トゥール・ヴァガボンドでシェークスピアを


Théâtre Shakespeare à La Tour Vagabonde

シェークスピアが数々の傑作を上演した時のままの姿を残した木造の劇場、グローブ・シアターがロンドンのサウスバンクにあります。ラ・トゥール・ヴァガボンド(直訳は“放浪する塔”)は、このエリザベス朝スタイルのグローブ劇場をモデルに、15年ほど前にスイスで作られましたが、ずっと忘れられ放置されていたのを、最近修復し、劇団 La Compagnie Les Mille Chandelles(千本のローソク)との協力で、今パリで公演中です。演目はロミオとジュリエット、お気に召すまま、そしてブラ・ディ・ブラ・ダ(子供向けの近代劇)

出入り口は計5か所くらいあり、その全部を使って俳優が出入りします

シェークスピアの時代は、劇場は屋根がなく、雨が降ると上演中止だったそうですが、ラ・トゥール・ヴァガボンドは屋根付きです。3階建ての円形、木の骨組みにカバーをかけたような作りで、組み立て式の移動劇場。ヒーターもクーラーもなく、さすがに照明は電気を使っていますが、暗めで、劇場内に入ると木や藁の匂いがします。頑丈な壁が無いので、車の音など外の雑音が沢山聞こえても、中はシェークスピアの世界。楽屋は外なので、俳優達は観客の間を通って出入りし、お客のいるバルコニーでも演技するので、舞台と観客席の区別がはっきりせず、それだけ臨場感も満点。よい天気の日だったので、庭の芝生の上にコスチュームが順番に並べられていたり、休憩時に俳優が飲み物を飲みながらリラックスしていたりと、多分シェークスピアの時代も、きっとこんな風にのどかだったのでしょう。
フランス語版なので、お気に召すままを見たのですが、主役の“ロザリンド”が“ロザランド”と発音されるなど、シェークスピアでなくて、モリエールの劇を見ているような気分がしたのだけがちょっと残念ですが、フランスで上演する以上仕方ないですね。

La Tour Vagabonde, Cité Internationale des Arts 7月中旬まで
18 rue de L'Hôtel de Ville 4e  http://tourvagabonde.com/

6/20/2013

カフェ・プーシキン

Café Pouchkine

オスマン通りのデパート、プランタンの1階にあるカフェ・プーシキンは、世界中のジェットセッター達が集まることで有名なモスクワの豪華レストランのパリ店です。パリ店といってもカウンターのイートインコーナーと、お菓子のショーケースだけの小さなスペースなのですが、一歩入るとそこはもう帝政ロシア。白黒ダミエのタイル、ゴールドのレリーフと鏡の華麗な装飾は、ベルサイユなどフランスのシャトーの装飾に似ていても、やっぱり東欧の香りがします。並んでいるお菓子は、フランス最優秀職人賞やお菓子のワールドカップで優勝したシェフ、エマニュエル・リョンの、他では見られないような豪華絢爛さが、これもまたエキゾティック。
ところが実は私はこのお菓子をまだ食べた事がないのです。いつか食べようと思いつつ、でもいつも結局ペストリーの方を買ってしまいます。特にここの大きなクロワッサンは中がフワフワ、溶かして透明な砂糖がかかり、この甘さがフランスのクロワッサンとはまったく違って大好きなため。
ピロシキはオードブル用のものと、甘いデザート用など、ロシアならではの商品もあります
Café Pouchkine   プランタン・デパート、オスマン通り店1階

6/17/2013

デンマークのインテリアショップ“ヘイ”とブルレック兄弟のコラボ

Hay invite les frères Bouroullec

ヘイはデザイン・インテリアや雑貨を、手頃な価格で販売している、デンマークのショップです。テクノロジーを駆使して研究された機能的な商品は、例えばベッド周りのシリーズwaveや、世界的に有名になったabout a chairなど、数々のヒットを生んでいます。またデザイナーとのコラボも得意で、ヘイでは有名デザイナーの商品が手頃な価格で買えることも大きな魅力です。
HayのAbout a chairプランタンデパートで販売中

そのヘイが、コペンハーゲンの大学用に、新しいデザインをブルレック兄弟(527日ブログ参照)に依頼しました。パリにヘイのショップはないのですが、フランスのインテリア店シルベラが、プランタン店のみのエクスクールシブでこのコレクションを販売中なので、ブルレック兄弟のファンには見逃せません。機能的で使いやすくシンプルな椅子、バー・チェアー、デスク、テーブル数種は、パリのアパートにもぴったりです。それにしてもヘイがパリ店を早く開いてくれないでしょうか・・・・
デスクの上の、カラフルなジオメトリーのプレート(モジュール)もヘイのヒット商品。ビビッドカラー、パステルカラーなど、シーズンで色が変わります。

Silvera    www.silvera-eshop.com