6/26/2013
海の画家マチュラン・メウ展
Machurin Méheut au Musée National de la Marine
6月末でクローズの予定だった海洋博物館(トロカデロ広場)のマチュラン・メウの展覧会が、人気があるので9月1日までに延長されました。この展覧会はこの春一番と言ってもよいほど面白いのでお勧めです。
マチュラン・メウはブルターニュの海岸で生まれ、海洋生物研究所で海の生物のデッサンに夢中になり、後にパリの装飾美術大学で勉強したので、純粋な画家というよりはイラストレーター、デコレーターです。展示のテーマは、ブルターニュの漁師や塩田で働く人たちの生活、第一次大戦に従軍中のスケッチ、奨学金を受けて世界を見て回った時のスケッチ(特に日本)、陶器や壁画とその下絵。生涯海をテーマに膨大な量の絵を描き続け、しかも手紙魔だったので、奥さんや仕事仲間に素晴らしいスケッチ入りの手紙をどっさり送っていて、そのごく一部しか展示してないらしいのですが、それでもどっしり見ごたえのある量。装飾美術で有名な人で、生前から美しいデッサン集などが沢山出版されていますが、私は知らなかった上、しかも海洋博物館の展覧会だからたいしたことはないと思って夕方行ったため、結局閉館で追い出されるまでたっぷり時間がかかってしまいました。
奥さんに送った手紙の内容とともに一番悲劇的なスケッチ、逃亡兵の処刑。ほんの小さな絵なのに訴えかけるものは大きく、絵自体が美しいのがよけい悲しい。
彼が有名になってからの装飾的大作より、私には漁師たちの生活風景や戦場の場面を、骨太の線で一瞬の場面を捉えたものがすばらしく、また戦場のスケッチは、悲惨な場面はあまりなく、時にはユーモアさえ感じられるのに、とても心打たれました。最前線の修羅場で、どうやってスケッチしていたのでしょうか・・・魚やエビが手元に無いので、昆虫を描いていたのも面白い。
陶器のデザイン画と実物も展示されています。パリのレストランPlunierプリュニエは、白地にブルーの魚貝モチーフの彼のお皿を今でも使っているそうです。
日本では京都、奈良、宮島(やっぱり船を描いている)の風景や、日常の人々のスケッチなど、海洋博物館が海をテーマに企画したのでほんの少しだったのですが、これだけで独立した展覧会をしてもらいたいくらい素敵でした。日本のスケッチだけでもすごく沢山残っているらしい、全部見たい!
Machurin Méheut Musée National de la Marine, Place de Chaillot 16e 9月1日まで
http://www.musee-marine.fr/
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