アンリ・カルチエブレッソン財団で、ウィリアム・エッグルストン(1939~)の初期(50年代末から60年代)の作品を見て来ました。彼は、芸術写真は黒白、カラーは広告用と言われていた時代に、カルチエブレッソンを崇拝しつつも、モノクロからカラーに転向し、またブレッソンが世界中を撮影したのに反し、故郷のメンフィスの平凡な日常を撮り続けました。74年に初めての写真集が出版され、76年にはニューヨークのMoMaで展覧会が開かれるなど、カラー写真で世間に認められた最初の写真家の一人なのだそうです。
エッグルトンの写真には人物がとても重要なのですが、安いチェーンレストラン、ダイナースのコーナーや、ガソリンスタンド、ケチャップやコーラの瓶、時にはただの紙コップが2つといった人物のいないシーンも、その直前まで誰かがいたような日常。一方彼の人物は、まるで時間が止まって静止したように見え、エドワード・ホッパーの画と何か通じるものが・・そしてなんとなくアンニュイ・・
右の、エプロンをしたス―パ・マーケットの男の子がキャディーを片付けている場面は、この展覧会のポスターになり色々な雑誌にも取り上げられていたもの。彼の作品にはめずらしく動きがあって、人物も若く、60年代そのもののヘアスタイルなど、広告にでもなりそうなメディアティックな写真。
“カルチエブレッソンの写真集The Decisive Momentは、私の人生と写真の撮り方を変えてしまいました。私は始めて、正面から撮られなかった写真を見たのです。彼の作品はドガやロートレックのようなアングルなのです”
“The Decisive Momentを見てはじめに感動したのは、黒と白の色合いでした。どの黒も漆黒ではなく、そこに隠されているものが見えるし、純粋な白もありません。彼の素晴らしい構図やアングルにショックを受けたのはその後でした。” William Eggleston
William Eggleston, From Black and White to Color 12月21日まで
Fondation Henri Cartier-Bresson 2 Impasse Lebouis 14e
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