サンマルタン運河周辺は、もう随分前からパリで最もブランシェで有名な地区になってしまったので、ちょっと場所をはずしてまだ静かな場所、地価の安い場所を求めて、今までブランシェとは全く縁がなかった19区のあちこちにホットスポットが広がっています。スターリングラード広場のル・ロトンドもその1つ。
正しくは“スターリングラードの戦い広場”は、地下鉄の高架線の下を沢山の車が通って埃っぽくつまらない広場だったのですが、ヴィレット公園まで続くサンマルタン運河沿いの遊歩道ができ、広場が整備されて広くなり、見違えるように気持ちのよい場所に。広場沿いに忘れ去られ排気ガスに汚れていたラ・ロトンドも、きれいに修復され、レストラン、カフェ、ギャラリー、アーティなフラワーショップなどが入った、レストラン兼カルチャーセンター的なおしゃれな空間に大変身しました。
この建物は1784年から革命の前年1788年にかけて、パリ(今のパリより小さい)を取り巻く壁に、人の出入りをコントロールし、税金を取るための門(関所)とその事務所として、クロードニコラ・ルドゥという建築家が作った建物だそうです。パリにはこのような関所が大小様々50近くあったのに、オスマンのパリ大改造の一環として1860年に殆どが壊され、現存しているのはこのル・ロトンド、ダンフェール・ロシュロー広場、ナシオン広場、モンソー公園入り口の4か所だけです。
ギリシャ、ローマのスタイルをまねた、円柱の並んだネオ・クラッシック様式。この様式はごつくて重く、少々美しさに欠ける建物が多い気がするのですが、ここもそう。厳めしい外観は全然ファッショナブルではないけれど、入口前に広がった緑で一杯のオープンカフェやアヴァンギャルドなオブジェが和らげています。ガラス張りの高いドームから自然光の入る中央の円形広間と、周りの回廊をめぐる小さめのスペースがミックスした変わった形のレストランは、大テーブルのあるダイニングコーナー、カフェやバーのラウンジ風など、異なるインテリアで演出。
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