4/30/2013

パリで一番おいしいパン

Du Pain et des Idées

パンのお話しついでに、私がパリで一番おいしいと思っているパン屋さんの事を続けて書いてしまいます。雑誌などメディアにも沢山取り上げられている、“かの有名な”デュ・パン・エ・デ・ズィデです。時間をかけた自然発酵、昔ながらの行程で丁寧に作られ、外はパリパリ、中はもっちりとした他では味わえないパンは、遠くからでも買いに行く価値があります。お店は外も中も、ちょっとレトロ・シックな田舎風。脱サラしてこの道に入ったクリストフ・ヴァッサールさんは、1900年初めの頃のパンを作りたかったそうですが、見事にコンセプトは成功です。

全ておいしいのでいつも迷いますが、欠かさず買うのは一番シンプルなこのパン。一見大きすぎるようですが、時間が経っても味が変わらない上、これだけでワインと、チーズやハムと合わせると最高、またバターとハチミツでおやつにと、持て余すようなことはありません。下の小さなパンは、ベーコン、チーズ、オリーブなどの入った、ランチにもなるパイ風のパン。


歩道に出されたテーブルとベンチで、焼きたてのパンを試食できます。サンマルタン運河がすぐ傍なので、よい天気の日は、ミニ・ピクニックも可能。

Du Pain et des Idées  34 rue Yves Toudic 10e
http://dupainetdesidees.com/jp/historique.html

4/29/2013

パリ一番のバゲット、オ・パラディ・デュ・グルマン

Au Paradis du Gourmand 

厳選した素材を使い丁寧な職人芸で作られたパンはアート・・フランス人にとってパンの味は、日本人のお米に対するこだわりと同じく、ディナー全体を引き締める要の味。フランスに来るツーリスト達に、一番安く味わえるフランス料理“バゲットのサンドイッチ”に、パンの善し悪しは大きく影響するのですから、事は重大です
前置きが長くなりましたが、2013年度のパリ一番のバゲット賞は、リダ・カデールさんのAu Paradis du Gourmandオ・パラディ・デュ・グルマン、食通の天国という名の14区のパン屋さんに決まりました。この賞はパリ市が毎年この時期に主催するコンクールで、厳しい審査の結果1位になると、1年間大統領官邸にパンを納品する栄誉を与えられ、以後レストランのシェフ並みのスターになったパン屋さんもいます。
Au Paradis du Gourmand  156 rue Raymond Losserand 14e
行ってみると、全く普通の、いつもなら見過ごしてしまいそうなパン屋さんでしたが、さすがに沢山の人だかり。焼きあがりは5分後と言われたので待っていたところ、1人で8本も買った人を含めて、みな2-3本ずつ買うので一瞬で品切れ。結局買わずに帰ってきてしまい、試食は次回に。
焼くとすぐ売れてしまうので空っぽな店内

過去の優勝者をいくつか挙げてみましたが、なぜか15区の1軒以外はモンマルトルの周辺ばかり。
Arnaud Delmontel   39 Rue des Martyrs  9e 
Au Duc de la Chapelle   32, rue Tristan Tzara 18e
Au Levain d'Antan   6, rue des Abbesses 18e
Mauvieux   159, rue Ordener 18e
Le Grenier à Pain   38, rue des Abbesses 18e
Le Grenier de Félix   64 Avenue Félix Faure 15e

4/26/2013

カフェA

Café A / La Maison de l'architecture 

東駅とサンマルタン運河に挟まれて、ラ・メゾン・ド・ラルシテクチュール、直訳すると“建築家の家”があります。建築に関するプロモーションを目的とした、イル・ド・フランス(パリ近郊)の公共施設で、色々な講演や展示、建築に関する視察旅行のオーガナイズ、子供向けのアトリエなどを催しています。この施設の建物のルーツは17世紀に建てられた修道院で、19世紀末には軍人用の病院になったり、1991-2年にはアーティスト達が無断占拠したりと色々な変遷を経て、2003年に修復されたものです。展示は面白そうなテーマもあるので、いつか見てみたいと思いますが、建築家ではない私の一番の興味はまずそのカフェ。シンプルでアーティーな内装、隣のテーブルとの距離をたっぷり取った広いスペース天気の良い日は中庭に折りたたみのデッキチェアが出されて、日光浴をしながらの特別のコーヒータイムが過ごせます。

不法占拠されていた時の名残か?修復されていない階段にはグラフィティーが一杯
カフェは道路に面していないので、まずこの建物に入って, 僧院時代の名残回廊右手です。

La Maison de l'atchitecture   148 Rue du Faubourg Saint-Martin  10e
http://www.maisonarchitecture-idf.org/

4/24/2013

雑貨ラ・マニファクチュール・パリジエンヌ

La Manufacture parisienne

サクレクールの裏側をクリニャンクールの方に下りて行ったあたりに、かわいいお店を見つけました。一見子供用のショップのようですが、立派に大人向け。棚などの什器を使わず、あるテーマに従った、計算された雑然さで商品が広いスペースに散らばっています。今日のテーマは屋外のパーティでしょうか・・・クリエーターのアトリエで作られた椅子、蚤の市で集めた食器など、楽しい雑貨が一杯。

La Manufacture parisienne  93 rue Marcadet 18e
http://1909.typepad.fr/lamanufactureparisienne/

4/23/2013

メトロにて/ ポーズカフェ

Pause-café  
                            

4/22/2013

広告の語るフランスの歴史展

L'histoire de France racontée par la publicité

昔のポスターが好きなので、単にポスターを見る目的で行った展覧会ですが、本当にポスターが歴史を語っているので感心してしまいました。ポスターが大発展したのは1880~1914年で、1881-2年に小学校の義務教育が設定されたこと、1881年に言論の自由が認められたことと深く関わっているのです。まず学校の教科書の絵でポピュラーになった歴史上の人物達がポスターに登場し、彼らの有名な言葉が面白くもじって宣伝文句として使われ思わずニヤリ。ジャンヌ・ダルク、尖った鼻で一目でわかるフランソワ1世、フランス一番人気がある王様アンリ4人生のほとんどを馬上で過ごし宗教戦争に終止符を打った武人、そして名高い女好きと、フランス人が好きそうコートの胸に右手を入れて、独特の帽子に特徴のあるナポレオンなど。意外とベルサイユの太陽王ルイ14世は人気が、庶民には大げさな気取り屋”と思われていたようです
       フランソワ1世、彼の言葉“女を信じるなんてバカな事”に加えて“女よりは宝くじを信じましょう”
 アンリ4世とチョコレートHenry(アンリの英語読み)。彼の有名な“貧しい農民達もチキンを食べられるように”をもじって、“子供達が毎日チョコレートを食べられるように”との刻印付きのお達し。
ナポレオンと冷蔵庫の宣伝。多分無敵だった彼が寒さで敗走したロシア遠征を暗示。ロシア遠征中に新型薪ストーブを試している、ストーブ会社の宣伝もありました。

また1914年までは政治家達も、アルコール飲料、タバコ(健康問題には関心が持たれなかったので、当時タバコはヒゲと並んだ男性の象徴)、自転車などの宣伝に沢山登場しますが、 これらのほのぼのとしたポスターは、第一次世界大戦を境 にがらりと変わります。戦争があまりに悲惨だったため、歴史や政治は敬遠され、代わってミュージックホールのスターやスポーツ選手がポスターのモデルに。第二次大戦後は大量生産と消費時代に入り、ラジオやテレビの影響もあり、ポスターの面白味がだんだん薄れてしまったようですが、この時代の展示はほとんどありませんでした。
金曜日27日まで。会場のフォルネー図書館は、時々いい展示会をやるので見逃せません。

L'histoire de France racontée par la publicité
Bibliothèque Forney 1rue du Figuier 4e  http://www.paris-bibliotheques.org/   

4/21/2013

キース・へリングの塔


Keith Haring

今週の新聞に、キース・リングとネッケール病院関連の記事が3つ出ていたので、まとめて書くことにしました。キース・リングは80年代にニューヨークで活躍し、1991年に31歳で亡くなった、ストリート・ペインティングの創始者ともいえるマルチアーティストです。色々な人種とカルチャーの集まったイーストビレッジで、ギャラリーや美術館の枠外の、歩道や倉庫などにアートの表現の場を求め、地下鉄の黒い広告版に白いチョークでデッサンを始めました。
先ず初めの記事は、彼の回顧展"Keith Haring, The political Line"がパリ市近代美術館で18日の金曜日から始まったというもの。
次に子供専門のネッケール病院l'hopital Neckerが改装工事中で、風雨にさらされて傷んだ彼の画のある塔が取り壊しの危機に瀕し、修復資金を集めるためのチャリティー・オークションがクリスティーズで開かれるとのこと。リング財団から彼の友達のアーティスト達のサイン入りの作品32点が競売に出され、作品の中にはヨーコ・オノ(ビートルズのジョン・レノン夫人)の名もありました。売り上げは20万~40万€が見込まれています。
こんなところにこんなフレスコ画があるとは知らなかったので、修復が始まる前にちょっと行って見て来ました。子供病院にちなんで、妊婦とボールで遊ぶ子供の大らかなデザインです。
そして3番目の記事はオマケですが、あのデビット・ベッカムが、ネッケール病院に50万€を寄付するというもの。サッカー音痴のため詳しくはわかりませんが、彼は今パリ・サンジェルマンというチームと契約していて、パリに住んでいるらしい。そのサラリーの一部を寄付するのだそうです。寄付をすると所得税が大きく控除されるので、それがモチベーションになっているが、理由はどうあれ病院の子供達の役に立つのだから素晴らしいと新聞に書いてありました。塔修復のチャリティーの予想金額よりずっと多い額の寄付です。

Keith Haring The political Line, Musée d'art moderne de la Ville de Paris
http://mam.paris.fr/en/node/713
L'hôpital Necker   149 Rue de Sèvres  75015 Paris

4/20/2013

映画館ル・ルクソール

Le cinéma Le Louxor  

17日にパリ市長ベルトラン・デラノエ出席で、ル・ルクソールがオープンしました。この映画館は1921年に作られたアールデコの“ネオ・エジプトスタイルで、1983年から閉鎖されていたものをパリ市が買い取り、建築家のフィリップ・ピュマンに依頼し、3年間2千5百万€をかけてどうりに修復ました。キッチュな金ぴか趣味ではないかと心配ていたのですが、素敵なアールデコの建物に仕上がってました。フランス政府への批判は多々ありますが、こういう文化的な事にちゃんと予算を確保しているは、いつも感心させられますこれ国ではなくパリ市の予算・・・ デラノエが今期で退陣するのは残念なことです。映画が始まる前には、どの映画館でも普通15分くらいコマーシャルが入りますが、このルクソールでは、コマーシャル廃止です。場内でのポップコーンの販売も無く、プログラムは昔のように紙に印刷したものになるとか。


交通量も人通りも多く、雑多な人種入り混じって、一種独特な魅力のある下町バルベスのメトロのすぐ横で、立地条件はあまりよくありませんが、ルクソールのお客目当てのレストランやカフェができそうですし、何年かするとおしゃれな地区に変貌するかもしれません。シックになったモンマルトルや、先日書いたアンティックマーケットのトリュダーン通りも遠くありませんから。
次回は映画を見つつ、中も見てきたいと思っています。アールデコのバーがあり、テラスからはサクレクール寺院がまっ正面そうです。

Le Louxor  170 Bd. de Magenta 10e  http://www.cinemalouxor.fr/

4/17/2013

19区ムザイア通り周辺



Quartier de la Mouzaïa 19e

19区はパリの端に位置し、高層アパートなどが建ち並ぶ所もあ20区と並んで地価が比較的安いので、移民多い区です。その高層ビルのすぐ横のrue de la Mouzaïaムザイア通り周辺は、高くても4-5階止まりの、パリ市の平均よりずっと低い建物が並び、静かで、所どころにアールデコなどの建物混じり、100年前タイムスリップしたような地区です 
特にムザイア通りの両側にはvillaヴィラと呼ばれる 車の入れない小道が並び、びっしりと小さなかわいい家が並んでいます。これらの家は、典型的な19世紀初頭の労働者用住宅で、すぐ傍まで高層ビルが迫っているのに壊されずにこんなに沢山残っているのは正に奇跡。1870年まで採石場として縦横に地下道が掘られていたため、高層ビルを建てる地盤が無かったからだそうです。何ラッキーな!そのため全部の家が2階建てとミニチュアサイズ。どの家の前に、文字通り猫の額ほどの庭があり、パリ市内はみなアパート住まいなので、羨ましい限りです。パリの中心から外れ何の宣伝もされないので、パリジャンでも知らない人が多く、もちろん観光客も来ません。
最寄りのメトロはDanubeダニューブですが、メトロ周辺も古びたカフェが1軒、小さなホテルが1軒と、パリにいることを忘れそうです。ムザイア通りを中心に、気の向くままに散歩すると、色々発見があって楽しいでしょう。
メトロ、ダニューブ前の広場の古いカフェ

4/15/2013

コム・ア・リスボンのタルト

Gourmandises : Comme à Lisbonne

パリではモノ・プロデュイ、1つの商品しか扱わないパティスリーのショップが大流行り。カップケーキは少し前の話ですがまだ健在、シュークリーム、エクレアなどが最近は人気ですが、その中で私の好きなお店は、このコム・ア・リスボンです。ポルトガル誰もが知っているというポピュラーなお菓子、卵タルトだけを売っています。
リスボンは昔大航海時代と呼ばれた頃、新大陸から持ち込まれた香料や砂糖で繁栄しましたが、貴重な砂糖は小麦粉や卵と一緒に、供物や税として僧院に奉納されたそうです。僧院はこの沢山ある砂糖、小麦粉、そしてミサ用の僧服を洗って糊づけするために卵の白身を使うので、残りの黄身を使ってお菓子を作り、中でもこの卵タルトが有名になったとのこと。今に伝わる嗜好品で、僧院が発祥地の物は沢山あります。薬用と称してワイン、ビール、コニャックなどのお酒を作っていたのはよく知られていますが、お菓子作りは、何と理由づけしていたのでしょうか?

サクサクのパ皮と、中がしっとりして甘さも控えめな卵のシンプルな味が勝負のこのタルトは、以前から朝市で、ナッツや多分ポルトガル産のソーセージを売っているお店の店頭にもありましたが、お菓子屋さんで売られるの初めてです。朝市では1.5€前後、ここでは2€前後。同時に食べ比べてはいませんが、後者の方がよりしっとりきめ細かいようです。焼きたてを売るので、日曜の午後などは列を作って焼きがりを待つほど。
小さいお店シンプルなホワイトのタイルの内装に、ツバメが飛んでいるのがトレードマークレジ横のミニカウンターで、ポルトガル式の濃いコーヒーと一緒に試食する事できます。

Comme à Lisbonne
La pastelaria de Nata  37 rue de Roi de Sicile 4e  http://www.commealisbonne.com/en/#home  

4/14/2013

アンティーク市

Brocante

春はパリ市内のあちこちで、週末にオープンエアのブロカントやヴィッド・グルニエが開かれます。日本では一口にアンティック・マーケットと言いますが、フランス語でantiqueアンティックには、ギリシャ、ローマ時代など“古代”の意味もあり、本物の古美術=高めの物を扱うのが純粋なアンティック・マーケットで、入場料を払う市もあります。庶民が気軽に買える価格帯のものはbrocanteブロカント、素人と一部セミプロが不用品を売るvide grenierヴィッド・グルニエ(屋根裏の物置を空にするという意味でフリーマーケットの事)で、後者はガラクタも多いけれど、安いものは1-2ユーロからあり、町ぐるみで和気あいあいとしていています。今週末に開催されたモンマルトルの下のトリュダーン大通りの市は、ボボ地区なのでブロカントでもグレードの高いブースが集まり、特にデザイン物が沢山あって楽しい市です。